★身近な健康を考える★

日頃から体力づくりを

多くの女性が、妊娠に気づいて産婦人科を訪れるのは、妊娠2ヶ月、5週から8週くらいと言われています。 ところが、おなかの赤ちゃんの異常の発生の危険性は、その前から始まっています。
赤ちゃんが、おなかの中ですくすくと育つには、まずはお母さんが健康であること。赤ちゃんを望む人は、妊娠と気づく前から、日頃の健康に気を配ることが大切です。
特に必要となる栄養素(葉酸、鉄、カルシウムなど)を十分摂るように心がけ、アルコールの飲み過ぎやたばこを控え、また薬の使用にも注意しましょう。

妊娠したら、ビタミン・ミネラルの必要量が大幅アップ!

妊娠したら、ビタミン・ミネラルの必要量が大幅アップ! 妊娠したら、赤ちゃんの分まで様々な栄養素が必要になってきます。たんぱく質、脂質、炭水化物などのエネルギー源はもちろんですが、それらの代謝を助けるビタミン、ミネラルも大切です。
中でも大きく必要になるのは、ビタミンD、葉酸、鉄、カルシウムなどです。

おなかの中の赤ちゃんのためにつとめて摂りたいビタミン・ミネラル

ビタミンD 300IU カルシウムの吸収や沈着を助けます。 しいたけ2枚(30g)=24IU
いわし1尾(80g)=320IU
ビタミンB6 1.7mg たんぱく質の代謝を助け、身体の成長にも関係。体調を整えるので、つわりの時にも。 バナナ1本(150g)=0.57mg
豚もも肉100g=0.31mg
カルシウム 900mg 骨や歯の材料。妊娠中や授乳中に不足すると、お母さんの歯や骨がぼろぼろに・・・。 牛乳1本(200ml)=227mg
丸干いわし3尾(40g)=228mg
葉酸 400μg 赤血球を作る材料となり、たんぱく質の代謝を助けるビタミンB群のひとつ。体の生育を促し、赤ちゃんの成長にとても大切。 納豆1パック(50g)=60μg
ほうれん草(60g)=126μg
20mg 血液の材料となり、酸素を運搬。妊娠中の貧血予防にも。 豚レバー40g=5.2mg
干しひじき10g=5.5mg

妊娠と気づく前から重要なビタミン・葉酸

赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクを低減

神経管閉鎖障害とは、脳や脊髄を形成する神経管が妊娠前期に正常に形成されないことによって起こる先天異常のひとつです。日本では1万人に対して6人の割合で発症が推計されています。
この神経管閉鎖障害の集団としての発症リスクを下げるのに、葉酸が有効であることが分かってきました。
諸外国で行われた数々の疫学研究においても、「葉酸が神経管閉鎖障害の発症リスクを低減するというほぼ一致した成績が得られています。
また、アメリカでは「妊娠可能な全ての女性に対して、通常の食事に加えて栄養補助食品や強化食品で1日400μgの葉酸摂取」をすすめており、欧州諸国においても、同様の勧告がなされ、発症リスクの低減の対策がとられています。

※神経管閉鎖障害の発症は、複合的な要因によるもので、葉酸摂取だけで予防できるものではありません。また、すでに神経管閉鎖障害の赤ちゃんを出産した場合でも、葉酸摂取が寄与した可能性は必ずしも高くありません。

妊娠を計画している女性は葉酸の摂取を心がけましょう

葉酸が多く含まれるのは、ほうれん草などの緑黄色野菜、果物、豆類、レバーなど。身近な食品に多いのですが、水溶性のため、調理によって失われやすいので、工夫が必要です。
また、栄養補助食品中の葉酸の体内での利用効率は85%といわれるのに対し、食品中の葉酸では50%程度といわれています。
厚生労働省では、妊娠を計画している女性について、食品からの葉酸摂取に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日400μg(0.4mg)の葉酸を摂取するように勧めています。そうすれば、神経管閉鎖障害の発症リスクの低減が期待できるというわけです。
ただし、安易に頼るのでなく、過剰摂取(※)に気を配るとともに、日常の食生活をおろそかにしないようにしましょう。

※葉酸の過剰摂取はビタミンB12不足の診断を困難にします。1日1mgを超えないようにしましょう。

妊娠1ヶ月以上前から3ヶ月までの間の食生活がポイントですが、いつ妊娠するかなんて、なかなかわからないのが現実。ですから、日頃から、葉酸など、ビタミン豊富な栄養バランスのよい食生活を身につけておくことが重要です。