脂質異常症の知識

◆脂質異常症ってどんな病気?

血液中にLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪などの脂質が増え過ぎた状態か、HDL(善玉)コレステロールが少ない状態をいいます。放っておくと、血管の壁に脂質がたまり、血管を詰まらせたり、傷つけたりします。そして、動脈硬化、心臓病、脳卒中などといった合併症を引き起こすことになってしまいます。 自覚症状がないため、そのまま放っておくことが多く、動脈硬化が進んでしまうのが脂質異常症の怖いところです。定期的に健診を受けるなど、早期発見に努めることが大事です。

◆コレステロール、中性脂肪とは?

コレステロールも中性脂肪も、あまりよいイメージを持たれませんが、体の中では大切な役割を持っています。
中性脂肪の主な働きは、体を動かすエネルギー源となることです。それに対して、コレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁酸などを作る原料となります。

中性脂肪の働き

  • エネルギー源になる
  • 体温を一定に保つ
  • 外部の衝撃から内臓を守る

コレステロールの働き

  • 細胞膜の原料になる
  • ホルモンの原料になる
  • 胆汁酸の原料になる
コレステロールサイクル

※コレステロールの7〜8割は肝臓など体内で合成されています。肝臓は、血中コレステロールが一定に保たれるように、合成量を加減しているのですが、この調節機能が低下したり、食事から摂取しすぎると、血液中のコレステロール量が増加してしまうので、注意が必要です。

◆動脈硬化はどのように進行する?(アテローム硬化の場合)

動脈硬化はどのように進行する?

◆脂質異常症の原因は?

コレステロールや中性脂肪を増やす大きな原因となるのは、悪い生活習慣です。また、遺伝や他の病気が脂質異常症につながることもあります。更年期以降の女性も要注意です。
<脂質異常症を起こしやすい生活習慣>血圧レベルの診断と分類

◆検査値がいくつなら脂質異常症?

従来の診断基準では「総コレステロール値」を重視してきました。しかし、冠動脈疾患の発生リスクが高まるのは、悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール値」が高い場合や善玉と呼ばれる「HDLコレステロール」が低い場合であることがわかってきました。そのため、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」では、診断基準をLDLコレステロール値、HDLコレステロール値、それぞれの値で判断するように設定されました。
脂質異常症の診断基準